コラム

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愛情ホルモン「オキシトシン」のマネジメント活用法

男性にも「オキシトシン」が出るという事実

「オキシトシン」というホルモンをご存じでしょうか?オキシトシンは、脳の視床下部から分泌されるホルモンで、分娩時に関係するホルモンとして、昔から「出産ホルモン」として知られていました。しかし、近年の脳科学では、オキシトシンは出産時や女性だけに分泌されるものではなく、様々なな役割があることがわかってきました。例えば、「愛情ホルモン」や「絆ホルモン」と呼ばれています。その名の通り、親密な人間関係を築く上で重要な役割を果たしますますが、さらに、オキシトシンは感情だけでなく、身体や心の健康にも様々なプラスの影響を与えていることが研究結果からわかってきました。

まずひとつめに、オキシトシンは他人との絆や信頼感を強化する働きを持っています。このホルモンが分泌されると、相手を信頼しやすくなります。(オキシトシンスプレーなどもあるようですが、悪用は禁止!)

このホルモンは、そもそも人を支援したり、されたりした時に分泌されます。心理的安全性が高い職場では、お互いが安心して助けを求めやすい雰囲気、支援をしたいと思える人間関係と高いエンゲージメントが存在すると考えられます。「心理的安全性を高めよう!」というスローガンでは高めることはでません。

これまで、女性や出産時に限定されたホルモンだと思われていましたが、男性にも分泌されます。

男性ホルモン「テストステロン」と「オキシトシン」の関係と特徴

1. テストステロンの特徴

人間関係やストレスにおいて、テストステロンは以下のような働きを持ちます。

  • 攻撃性・競争心の向上: 自己主張や競争心を高め、リーダーシップに関与
  • 意思決定力の向上: リスクを取る行動や決断力を高める
  • ストレス耐性: コルチゾール(ストレスホルモン)を抑制する効果も

ポイント
テストステロンは自己主張や競争心を高めるため、社会的な立場を獲得しようとする行動につながる傾向があります。


2. オキシトシンの特徴

人間関係やストレスにおいて、オキシトシンは以下のような働きを持ちます。

  • 信頼感・愛着の向上: 親密な人間関係を築くのを助ける
  • ストレスの軽減: 副交感神経を優位にし、リラックスを促す
  • 共感力の向上: 他者との協力や共感を促す
  • 社会的絆の強化: グループの結束を高める

ポイント
オキシトシンは他者との信頼関係や愛着を深めることで、社会的な絆を強化します。


3. テストステロンとオキシトシンの関係

両者は一見、正反対の作用を持つように見えますが、実際には相互に影響し合っています。

競争 vs. 協力

  • テストステロンは 競争心 を高めるホルモン
  • オキシトシンは 協力・共感 を促すホルモン


リーダーがテストステロン優位なら競争的な決断をしやすく、オキシトシン優位ならチームワークを重視した判断をしやすい。

ストレスとの関係

  • テストステロンは ストレス耐性 を高める
  • オキシトシンは ストレスを和らげる

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ストレス状況ではテストステロンが優位になりやすいが、信頼関係のある環境ではオキシトシンが分泌され、リラックスしやすくなる。

バランスが重要

  • テストステロン過剰: 攻撃的・支配的になりすぎ、他者との関係が悪化することも
  • オキシトシン過剰: 他者への依存が強くなり、適切な競争心を失う可能性も
  • テストステロンとオキシトシンは対照的なホルモンですが、どちらも社会的成功や良好な人間関係に重要な役割を果たします。バランスよく活用することで、競争と協力を両立できる理想的な状態を目指せます。

オキシトシンの3つの主な効果

オキシトシンが私たちの心身に与えるプラスの影響は主な効果には、次の3つが挙げられます。

1. ストレス軽減・リラックス効果

オキシトシンには、心臓血管収縮の緩和やストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を抑える効果があります。(→外部サイトへ)血管が拡張されることによって、一時的に血圧がさがりリラックス状態になります。ここに、ストレスを人体に感じさせるホルモンであるコルチゾールを低下させる興和が加わることで、かなり大きなリラックス効果を生むことができます。

2. 人間関係の向上

2つ目に、他人への共感力や信頼感を高める作用があります。(→外部サイトへ)周囲の感情に気付きやすくなりまるため、共感性が高まるのです。高まった共感力は、誰かのための行動を促すことになりますが、このことによって行為を行った人だけでなく、行為を受けた人にもオキシトシンが分泌されることがわかっています。相乗効果によって、信頼関係が深まっていくのです。一般的に男性が結婚するとオキシトシンの量が増え、ひとりの人を大切にするようになります。一夫一婦制のねずみであるプレーリーハタネズミもオキシトシンが分泌されることが知られています。人間だけではなく人も動物も世話をしたりスキンシップすることでオキシトシンが分泌されるのです。

3. 思考の変化

3つ目は、考え方の変化です。オキシトシンが分泌されると、短期的な思考よりも長期的に俯瞰した視座で物事を考えるようになります。結果として、人間関係を重視した判断が行えるようになります。短期的にはつらい経験であっても、思い出として昇華できるようになるため失敗してもチャレンジしようと思えます。この気持ちを持つことができるなら、失敗も成功へと変わるのです。オキシトシンは恐怖反応を鈍らせるので扁桃体は落ち着き、勇気をもった行動の促進につながるのです。

このように、仕事や職場でも、あなたをストレスから守り、パワーアップ強い味方のオキシトシンですが、分泌させる方法をご紹介しましょう。

オキシトシンを自分で分泌させる方法

様々な恩恵を期待できるオキシトシン。実は、自分自身の力で分泌を促すことができます。そのための方法をいくつかご紹介します。

1. 社会的なつながりを大切にする

人を支援したり、喜んでもらったり、信頼したりするとオキシトシンは分泌されます。そのため、ボランティア活動や、他人を助ける行動を意識して行うことがオキシトシン分泌のきっかけになります。他者とのつながりが深まることで、あなた自身の心も満たされるのです。

2. 感謝を伝える場面を作る

オキシトシンは人間が困難に直面した時に、それを乗り越えるために分泌されるホルモンです。この働きによって、自然と誰かに助けを求める余裕が生まれ、生存確率が上がったのだと考えられます。なので、どんなに小さな事であっても助けてもらったときは積極的に感謝の言葉を伝えることや、心から「ありがとう」と感じることも、オキシトシンを増やす効果があります。ちょっとした困難であっても、すぐに誰かに助けを求め感謝できるというのは、視点を変えれば、自分が困っていると正確に認識できているということでもあります。

3. スキンシップを増やす

他人と触れ合うことは、オキシトシン分泌の最も効果的な方法の一つです。家族やパートナーとハグをしたり、ペットを撫でたりすることで、簡単にオキシトシンが分泌されます。触れる行為そのものが、安心感や幸福感を生むのです。これらの方法は、特別な努力や費用を必要とせず、日常生活で簡単に実践ができることばかりです。

オキシトシンを放出する自分の方法をもつ。

オキシトシンは、私たちの幸福感や健康を支える重要なホルモンです。ストレス軽減や人間関係の向上、身体的な健康促進など、多岐にわたる効果を持つこのホルモンを、自分で増やせるとしたら、試してみない手はありませんよね。スキンシップや感謝、笑い、瞑想といったシンプルな方法から、自分に合ったオキシトシン分泌の方法を見つけることで、人生に心地よい変化をもたらすことができます。

重要なのは、自分のペースでできることを日常に取り入れることです。無理に完璧を目指す必要はなく、少しずつ心が満たされる瞬間を積み重ねていくことが、長期的な幸せへとつながります。今日からあなたも、オキシトシンを意識してみましょう。その小さな一歩が、心と体の健康を豊かにする大きな変化をもたらすはずです。

わたしは飼っているふわふわの白いトイプードルを撫でていると、みんながハッピーになれるアイデアが浮かんできて、癒されます。

オキシトシンは、人と人が助け合うことで生き延びてきた人類だからこそ現存しているしくみなのかもしれません。

みなさんもお気に入りの方法で、毎日オキシトシンを放出してくださいね!