不安を力に変える「RAS」の使い方

興味を引く情報が自然に目に入る仕組み
友人と夏休みに海外旅行に行く計画を立てた時、普段は気にも留めなかった海外旅行のポスターが急に目に飛び込んでくることはありませんか?
あるいは、車を買おうと思った瞬間から、街中で自分が購入しようと考えていた車種の車が目につくようになった経験はありませんか?
これらの現象には共通点があります。
それは、私たちの脳が無意識のうちに、興味や関心があるものに対して情報を集め始める仕組みが働いていることです。
このような現象は、ただの偶然ではなく、実は私たちの脳が日常的に行っている「情報選別」の一部なのです。
この脳の働きが、私たちが何に注目し、どのように行動するかを決定づけているのです。
RAS:(網様体賦活系)の働きとその効用
このような現象の背後には、RAS:(網様体賦活系)という仕組みがあります。
これは、自分が関心を持ったことや必要だと思った情報を、脳が自動的に引き寄せるという機能です。
正式には「自動目的達成装置」とも呼ばれ、私たちが意識したことに基づいて脳が情報を収集し、行動を起こすように働きかけます。
つまり、私たちが何かを望むと、それに関連する情報を自然と取り込んでいくのです。
例えば、あなたが海外旅行に行きたいと考えた瞬間から、脳はその目的に関連する情報を引き寄せ、旅行のポスターや旅行の広告が目に留まるようになります。
これは、脳がその目的を達成するために必要な情報を無意識のうちに集めているからです。
このように、私たちの目標を達成するために必要な情報を収集し、行動を導く力を持っています。
また、この機能は単に情報を集めるだけではありません。
RASは、目標に向かって行動を促すための指令を体に送る役割も果たします。
たとえば、旅行の計画を立てた場合、その計画を達成するために必要な行動
—例えば、旅行の予算を立てる、航空券を予約する、観光地を調べるといったこと—を促進するのです。
私たちが望む結果を達成するための道筋を自然に示してくれます。このように私たちの意識や思考と連動して働き、目標達成に必要な情報を効率よく集め、
行動を誘発する強力なシステムです。
さらに、RASは「しなやかマインドセット」のように、課題解決に向けて脳の能力を向上させる働きもします。課題に取り組むことで脳が能力を高め、結果として私たちのパフォーマンスが向上するというメカニズムです。
脳は、ポジティブな結果を期待して行動を促すため、次第に自信を持ち、さらに良い結果を引き寄せることができます。
RASが引き起こす弊害
しかし、これには注意点も存在します。
たとえば、過去の失敗やネガティブな経験が強く影響を与えていると、逆効果を生むことがあります。
脳は自分を守ろうとするため、過去の失敗やネガティブな出来事を回避しようとする働きが強くなります。
この場合、目標に向かって前進しようとする意欲が抑え込まれ、逆に不安や恐れが増すことがあります。
たとえば、過去に失敗した経験がある課題に再度挑戦しようとするとき、脳はその挑戦を拒否しようとし、RASはその情報を回避するように働くことがあるのです。
さらに、RASがひきよせる情報は必ずしも「良い情報」だけとは限りません。
例えば、あなたが「この課題は無意味だ」と考えた場合、その考えに基づいて脳が関連情報を集めるため、その課題に関するネガティブな側面ばかりが目に入ることがあります。
これにより、課題に対して意欲を失い、取り組むべき行動を避けてしまう可能性があるのです。このように、オートナーバスの働きは必ずしも望ましい方向に作用するわけではなく、時に私たちが意識的に「進むべき道」を見失うこともあります。
また、RASが過度に働きすぎると、無意識のうちに自己防衛的な思考に囚われ、成長の機会を逃してしまうことがあります。
特に、過去の失敗や挫折に引きずられ、挑戦を避けてしまうことがあるため、結果として自己成長が阻害されることもあります。このような状況では、RASが本来の目的である「目標達成」を妨げてしまうことになりかねません。

RAS(網様体賦活系)を意識的に活用する方法
では、この機能をうまく活用するためにはどうすればよいのでしょうか?
まず最も大切なのは、ポジティブな心構えを持つことです。RASは私たちが意識的に希望する方向に働くため、まず自分が何を望んでいるのか、そしてその目標が達成可能であると信じることが重要です。
もし過去の失敗に囚われてしまうなら、その失敗から学んだことに意識を向け、次にどう改善できるかを考えるようにしましょう。過去の経験を無駄だと思わず、それを成長の糧にすることで、脳はポジティブな反応を示し、目標に向かって進むエネルギーを高めてくれます。
次に、自分が達成したい目標を具体的にイメージすることも効果的です。
目標を明確にすることで、RASはその目標に関連する情報を集め始め、行動を促進してくれるでしょう。
例えば、目標を達成するために必要なステップを紙に書き出し、それを一つ一つ実行に移すことで、RASが目標達成に向けた行動をサポートしてくれます。
また、自己肯定感を高めることも大切です。
自分には成長する力があると信じ、過去の失敗や課題を前向きに捉えることで、脳はその考えに基づいて働き、結果としてより良い結果を引き寄せることができます。
RASをうまく活用するためには、自分の内面の意識をポジティブに保ち、目標に向けて着実に行動することが最も効果的です。
