利己的な満足があなたの体を炎症状態にしてしまう

あなたは、自分だけ幸せは続かない?
社会的満足感は、慢性炎症を抑える
アメリカで、18歳から89歳までの1000名を対象に、3年間、次の3つの質問を繰り返しました。
①「過去1年間のストレス状況は?」
②「学校や教会の活動、地域の花壇の手入れ、献血など奉仕活動にどれくらいの時間を使ったか」
③「医師の診断で、心疾患、がん、糖尿病などの重度の病気が見つかったか」
すると、奉仕活動を行っていなかった人は、離婚や失業などのストレスの多い出来事を経験するごとに、新しい疾病を発症するリスクが高くなっていることがわかりました。しかし、定期的に奉仕活動をしていた人は、強いストレスを感じる出来事を経験しても、こうしたリスクはあらわれませんでした。
この調査から、ボランティアに参加する、家族を大切にするなどで得られる社会的満足感は、慢性炎症を抑える一方、自分の欲求を満たすことで得られる方の満足感は、身体の炎症を進めていたことがわかったのです。
利己的な動機からの喜びには中毒性がある。
この結果に深く関わる「ctra遺伝子群」の存在が明らかになっています。
「ctra遺伝子群」は、「炎症遺伝子群」と「抗ウイルス遺伝子群」から成り立っています。
ストレスを感じると炎症遺伝子が多く発現し慢性炎症を起こします。
一方、満足感や達成感を感じると、炎症遺伝子群の発現は抑えられ、慢性炎症になりにくくなります。
さらにおもしろいことに、満足感の内容によって逆の反応が起きるというのです。
CTRA遺伝子群(Conserved Transcriptional Response to Adversity)は、慢性的な社会的ストレスや孤立といった「逆境」にさらされたときに発現が高まる一群の遺伝子です。
【CTRA遺伝子群の主な特徴】
• CTRA遺伝子群は、炎症反応の促進(炎症性サイトカインの上昇)と、抗ウイルス免疫応答や抗体産生の低下に関与します。
• 社会的ストレスが強いと活性化し、慢性的な炎症状態(動脈硬化、アルツハイマー病などのリスク増加)や免疫機能の低下と関連します。
• 逆に「生きがい」「人とのつながり」「社会貢献」などから得られる満足感や幸福感が高い人はCTRA遺伝子群の発現が抑制され、炎症レベルが低く、健康や長寿と関連があります。
幸福感とCTRAの関係
• 「自分のためだけの快楽(快楽主義的な幸せ)」の追求ではこの遺伝子群がむしろ活性化しやすいのに対し、「利他性」「社会貢献」「生きがい」から来る幸福感ではCTRAの活動が低下し、身体の炎症反応も抑制されるということが研究で分かっています。
• 他者への親切な行動やボランティア活動、家族や周囲とのつながりが重要だとされています
みだし

自分だけの喜びを追求する、人をやっつける、人から高く評価されるなど、利己的な動機から得られる喜びからは、ドーパミンやコルチゾールなど、体に負担がかかるホルモンが分泌されます。
このドーパミンには中毒性があるため、さらなる欲望を満たさなければ満足できなくなり、お酒やギャンブルなどの楽行動は常習化、果ては薬物依存にまで陥ってしまうことになります。
遺伝子が幸福感の種類まで見抜いているとは驚きですね。わたしたちは人や社会とうまくつながることで幸せになっていけるのです。
自分のための幸せを追い求める人ほど、結果的には絶え間のないストレスを抱えていて、悩みが尽きません。このスパイラルに早めに気づかなければ、ますます悪循環にはまってしまいます。
なかなか自分で気づくことは難しいので、もし気づかせてくれた人が現れたら、あなたの天使ですのでぜひお礼を(笑)
